その後のその後のゲタ吉
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スズキキヨミ

Vol.6 「ランプ会」

 グータンヌーボーでの、女優達の恋愛話の意味がわからない、今日この頃だ。

意味がわからないと言えば、子供の頃から、ウチの親父達のサークル『ランプ会』のネーミングの由来もわからなかった。
近所のばーちゃんの葬式で関係者各位からのお悔やみの挨拶が紹介されたが、ここでも『ランプ会』が出てきた。
『ランプ会』の名前を聞いた途端に、喪主である親父とおかんが、吹き出した。
『ランプ会』は二人のツボにハマり、声を殺して笑っていた。

それから10年もたった頃に『ランプ会』ネーミングの由来を知った。
親父達の友達に、若い頃からツルッパゲの人がいる。
ピカピカ光って辺りを照らすから、『ランプ』というあだ名で呼ばれている。
その人を含めた友達の集まりが『ランプ会』だ。


今夜、親父にそのランプから電話がかかって来た。
最初に受けたのは、おかんだった。
『お父さ〜ん!ランプさんが刑務所にいるって!今、電話!出て!』
ヘヴィな内容をさらりと言ってのけた。
大好きな『相棒』を見ている最中だったので、「刑務所」は日常になっていたらしい。
おかんは、いつもTVが現実だ。
親父は『何で刑務所にいるんじゃ?』と言った後、
『はぁ?はぁ?』と疑問詞しか、受話器に言ってない。

ランプさんは 『今、ワシは刑務所にいる。 1Fが作業所になっていて、2Fが刑務所になっている。 何で入ったか解らない』 と言っていたらしい。
仕方ないので、ランプさんの家に電話して事情を聞くと、先日精神病院に入院したそうだ。社会復帰施設も完備されている病院で、そこを作業所と思ったのだろう。
謎が解けた、親父とおかんは、またウケていた。
刑務所じゃなくて安心したにせよ、ひどい奴らだ。
自室に戻る途中で居間から、おかんの 『あ〜、相棒の筋がわからんくなってしまった』 とぼやいている声が聞こえた。
おかんの後悔の大半はTVがらみだ。


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