その後のその後のゲタ吉
9-2
スズキキヨミ

Vol.16 「 sex、drug & rock'n'roll 」

 セチ辛い世の中だ…。
給料は上がらないし、ボーナスも減った。
アメリカのリーマンブラザーズの破綻から始まった、世界的なビンボーだと言う。
たかが、サラリーマンの兄弟が破綻したからって、何で俺まで、ビンボーにならなきゃならないんだ!
俺は、まだまだ欲しい物があるんだぞ!
ナメんな!
俺は、一人っ子なんだ!欲しい物を我慢すんのは慣れてね〜んだ!
アメリカのサラリーマンの兄弟!俺に謝れ!
…てか、ばーちゃん、何で死んでしまったんだ!
何でも買ってくれた、隣のばーちゃん…。
このセチ辛い世の中を、サバイヴしていく自信がないよ…。
ああ〜!DSi、欲し〜い!

と、一人息子の俺がデッドロックな状態で苦しんでいるのも知らずに、今日も、おかんはタフにセチ辛い世の中をサバイヴしている。
ってか、おかん自身がセチ辛い。


ウチがずっとお世話になっている、近所の医院(人間用)がある。 親父の代から開業していて、今は息子が継いでいる。
その息子は人当たりが良くて、親父の時代以上に、その医院は繁盛していた。
が、数年前に、その息子はハッパで捕まった。
学生時代からの友達と、仲良くハイになっていたのだという。
それ以来、おかんはその医院を『 大麻 』と呼んでいる。

おかんの使用例→『 あ〜、風邪ひいたわ。大麻んとこ行って点滴打ってこよ〜 』


ウチの近所に、おかんが行きつけの美容院がある。
母親が美容師で、自宅に店を併設した、よくある近所相手の美容院だ。そこに息子夫婦も同居していた。
が、昨年その息子が嫁の妊娠中に、数件の婦女暴行で捕まった。
一人暮らしの若い女性を狙って、女性のアパートに忍び込み、エロい系の暴行を重ねる、という計画的なものだった。
それ以来、おかんはその美容院を『 レイプ 』と呼んでいる。

おかんの使用例→『 あ〜、白髪目立ってきた。レイプんとこ行って、染めてこよ〜 』

ウチのおかんは、自分に甘く、他人に厳しい。
自分は絶対に謝らないが、他人の罪は忘れない。

近所の人にも、自分の付けたあだ名で話す。


おかん達の使用例・応用編その1
『 あんた、風邪よくなった? 』
『 うん!大麻に点滴打ってもらったら、スッキリしたわ〜 』


おかん達の使用例・応用編その2
『 あんた、パーマあてたん?いいわぁ!どこで、あてたん? 』
『 そぉ?パーマいい?レイプんとこや!』

…セチ辛い…。

世の中は げにセチ辛き ものなりや
ゲタ吉

思わず一句読んでしまいました。
セチ辛い、セチ辛い…。

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2009 水木伝説オリジナル企画