††オレタチきょうしん族††
伝道師:スズキキヨミ
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本日は、おかんの奇声で目が覚めました。
何事か!と階下に行くと、おかんが向かいの家の娘(小1)を追っ払っていました。
手には以前に登場した、ピエロを握りしめています。
事情を聞かずとも、おかんは機関銃のようにまくしたててきました。
『 向かいの娘が、勝手にピエロを壁から外し、これ頂戴!とねだって来た!』と興奮しています。
『 大事な物だから、びっくりして取り上げた!
こんな大事なものは、やっぱり玄関に飾ると、みんなが欲しがってダメなのか?』
いつの間にか、大事な物になっている…。
私は、大事な物ではない事を理解してもらうつもりで
『 あげればいいじゃない 』
と言ったのですが
『 何言ってんの!あんたの大事な松下じゃない!』
と想定外の事を言いました。
えっ!なんで、こんなもんが松下になってんの?
次の言葉を見つけられない私を無視し、おかんは一人言を言いながら悩んでいました。
『 玄関は危ないけど、これは魔除けやし…。
やっぱり、ここしか無い!魔除けやから!ただの飾りじゃないから!』
飾りじゃないのよ、松下は!
井上陽水が、おかんの考えを後押ししました。
真珠じゃないのよ、松下は!
そうです。松下は冠婚葬祭にも便利に使えるような、軽いものとは違うんです。
だが、おかん!
それは松下じゃない!
ピエロだ!
しかも、近所のおばちゃんの手作り!
目を覚ませ!
そんな私の願いも届かず、おかんは
『 普段は玄関に厳重に鍵をかけて、何か音がしたら、飛んでくるしかない!』
と、当たり前の事を言いました。
『 ここら辺も物騒になったわ!
油断できん!』
おかんは、このピエロを死守する決意をしたようです。
ゴッド・セイヴ・ザ・松下!
ピストルズが、おかんの決意を後押ししました。
もう、面倒臭い…。
松下にしとけ…。
私は自室に戻り、二度寝をしました。
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2009 水木伝説オリジナル企画