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目玉 :「わしも空をとんでみたいのう」 
鬼太郎:「じゃあ木綿に乗ればいいじゃないですか」 
目玉 :「アレはヘルニアにこたえるんじゃ…」 
鬼太郎:「じゃあ、高い高いしますよ」 
目玉 :「ひゃっほ〜い」 
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PHOTO&TEXT / さと 
  
 
 
■MORE>>[ゲタ吉翼賛会C 2009.02] 
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[電界フハッ] 
 
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 Vol.8 「 Cutting Edge 〜鋭利な竹 」 
 
 いい天気が続いている。  
晴れた日は、犬を連れて歩いている人をよく見かける。  
俺もかつて犬を飼っていた。  
大型犬だったので、俺はいまいちリードを持てず、おかんが持って犬の散歩をしていた。  
家からかなり離れた所で、おかんが『 おしっこをしたい 』と言い出した。
『 我慢しろ 』と俺は言ったが、おかんは段々と、バスケのディフェンスみたいな姿勢になってきた。 こんな奴と家まで一緒に歩くのは辛い。  
犬の小便のついでに、おかんも小便させる決意をした。  
おかんは『 ありがとう! 』と言い、相手のいないディフェンスをしたまま、空き地の奥に進み、高く伸びたススキの陰に入った。  
ポジション確保が迅速で的確だ。  
かなり、野ションになれている印象を受けた。  
仕方ないので、犬と遊びながら待つ事にした。  
野ションをするような母親に愛情は無いが、犬には無償の愛を捧げられる。  
しゃがんで犬を撫でようとした時―。  
 
  『痛い!』  
 
叫び声が聞こえた。  
俺と犬は、おかんが消えたススキの群生の奥を見た。 
犬に引っ張られながら近付くと、おかんが尻を出しながら『 痛たた… 』と顔をしかめている。  
うんざりしながら状況を聞くと、パンツを脱いで尻を降ろしたら、何かに刺さったのだと言う。  
傍に斜めに刈り取られた竹があった。切り口に血が付いている。  
徹底的に醒めた俺は『 おしっこ済んだ? 』 と聞いた。  
『 びっくりして全部出た 』と痛みに顔を歪めたまま答えてきた。  
『 じゃあ、さっさとして! 』徹底的な上から目線で、冷酷に命令を下してやった。  
家に着くまで、おかんは『 痛い、痛い 』と言い続けた。  
 
近所の人達がその異様な光景に口々に『 どうしたん? 』と声を掛けてくる。 おかんはその度に、事の成り行きを説明する。  
俺はシカトし続けた。  
犬は全く事情が分からず、尻尾を振っている。  
どんな時も可愛さを失わない、ナイスドッグだ。  
 
結局、おかんは通院する事になった。  
完治した途端におかんは、空き地の所有者を調べあげ、その地主が竹を切った目撃証言まで取った。  
そして、その地主を逆恨みした。  
 
そんなおかんは夜の一人歩きを極度に怖がる。  
理由はレイプされるかもしれないからだ。 
 
 
 
 Vol.9 「 忘年会 」 
 
 世間は忘年会シーズンだ。  
社会人を長くやっていると、誰でも忘年会での凄まじい思い出が1つや2つあるだろう。  
俺の場合はこうだ。  
 
忘年会での酒の宴が終盤になった頃、ほぼ全員がかなり酔っていた。そろそろ2次会に移動しようかとなり、1コ下の女子社員がトイレに行く為に立ち上がった。
2、3歩進んだところで足がもつれ、バランスを崩した。  
女子社員はとっさに側にいた部長に手を伸ばした−。  
 
−その時、時代は動いた!  
 
自分の目を疑った。  
回りにいた数名も目を見開いていた−。  
部長の髪が丸い形で、頭から離れていた…。  
離れた毛は、女子社員の手に握られている。  
瞬時に、視覚からの情報処理能力が働かなかった。  
部長の頭は、磯野波平モデルだった。  
回りの小数の者達が、情報処理を終了した刹那、女子社員はヅラを部長の頭に戻し、トイレにダッシュした。  
幸い、泥酔していた部長は気付いていなかった。  
回りも何事も無かったかのように2次会へ向かう用意をしはじめた。  
ヅラを掴んだ女子社員は、翌年早々に退職した−。  
 
  
別の年の忘年会は、温泉で一泊だった。  
宴会が終わって、大半が2次会のカラオケに行ったが、俺は久しぶりの温泉に、ゆっくり入っていた。  
温泉から上がり、ファンタを買おうと自販機の前にいると、慌てた様子の若い女子社員に会った。  
同室の主任がいないと言う。  
主任は俺より、ちょっと年上の女性で、頭が良く、モデルの様なスタイルだが、気取った所が無く、サバサバした性格で、社員から人望がある。  
その主任が見当たらないと言う。  
『 カラオケに行ったんじゃなくて? 』と聞くと、女子社員は首を横に振り『行っているコに電話したけど、来てないって』と返ってきた。  
後から一人で行くってのも考えにくいので、『 温泉は? 』と聞いたら、さっき見てきたが居なかったと言う。  
後はトイレくらいか…。 部屋のトイレには居なかったと言うので、館内のトイレかな…。 と言った。 トイレなら俺は協力したくても出来ないから、報告を待つ事にして自室に戻った。  
しばらくして、部屋の戸をせわしなくノックする音が聞こえた。  
同室の社員は、みんな爆睡している。  
戸を開けると、テンパった女子社員が俺の腕を掴み、ちょっと来て!と館内のトイレに連れて行かれた。  
『 主任、見つかった? ここ? 』と聞くと、頷いた女子社員は、耳を疑うような事を口にした−。  
 
その時、時代は動いた!  
 
―主任は床に座り、便座に顔を乗せて爆睡していた。  
それだけなら、普通のヨッパーだが、とんでもないオプションが付いていた。  
主任は尻を出し、ウンコをトイレの床にしていると言う。  
驚いた俺は、咄嗟に『繋がっているのか?』と聞いた。  
女子社員は『繋がっている』と言う。  
俺は絶句した。あの優しくて、頼りになってかっこいい、主任が…。  
どうしたらいい?手伝って!と女子社員が詰め寄って来た。  
手伝えと言われても、主任はケツ出してるし、ウンコが繋がってるし、女子トイレだし、俺に出来るのはトイレから出て来た主任を、部屋に運ぶ位だよ、と答える。  
女子社員は、ケツ拭いてパンツ穿かせて来るから、ここで待っててよ!と先輩の俺にきつい口調で命令し、トイレに消えた。  
『 あいつはSだな 』と思いながら、暫く待っていると、女子社員から『 来て! 』と中に引っ張られた。  
確かにトイレ内はウンコの臭いが充満していた。  
入口に1番近い個室に主任が便器を抱えて、へたり込み、爆睡していた。  
傍にウンコがあった。 動揺したが、誰かが入って来たらマズいので、速やかに行動を開始した。  
二人でウンコを踏まないように主任を抱えて部屋に戻した。  
そして、この件は闇に葬り去った。  
翌年、女子社員は退職、更にその翌年には主任が退職した。  
 
そして、俺は忘年会が嫌いになった―。 
 
 
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