[2009.06/02]■更新 携帯版

■#26　　　2009.6 　放浪の旅に出る人を尊敬する。 鬼太郎親子や、スナフキンみたいにあてもない旅をする人は、しっかり者だ。 それに比べ、私は有り得ない程の方向オンチだ。 放浪の旅など、考えられない。 郊外の大型ショッピングセンターの駐車場で、自分の車をどこに置いたかわからなくなり、３０分も探しまわった事がある。 買い物時間より長かった。 試験会場で昼休み終了後、自分の席が分からなくなった。 昼休みだったので、受験番号の紙も机に忘れていた。 仕方ないので離れた所で、受験者全員が座るのを待ち、１つ空いた席が自分の席だと確認して、無事に受験を終えた。 試験より、自分の席を見つける方が難しかった。 自分の働いている職場で迷子になり、お客様に案内して頂いた事もある。 ダンジョンのゲームも苦手だ。 もちろん、カーナビは使ってるんでしょ？ あまりの方向オンチっぷりに、よく聞かれる。 しかし、方向オンチの凶星の下に生まれた者に、ナビの女神は微笑まない。 同じ市内にある店に行こうとして高速の手前に来た時、ナビは逆方向を差し、高速に乗せようとする。 余計に時間が、かかるじゃねーか！クソナビ！！！ 東名高速を走っていた時に、ナビがアナウンスし始めた。 『 目的地周辺です 』 バカ〜っ！！！ 次で降りて、ちょっと戻ればいいのね、とは分かるが、素直な奴ならダイブしてるぞ！ 方角で吉凶を占う時代の、やんごとなき人に生まれていたら、さぞ難儀しただろう。 毎日、占いの方角を100発100中で全て間違える自信がある。 『 アッタマわりぃなぁ！コイツ！ムカつく！』 と、陰陽師を苛立たせて式神の一つも放たれていたかもしれない。 さて、ナビにすら恵まれない私に、ぴったりなのは何だろう？ きょうしん族なので、もちろん答えは、占い杖だ。 あれは外れないし、しっかり者だ。 私は、占い杖と山下達郎との見分けもつくし、喉から手が出る程に欲しいアイテムだ。 問題は、占い杖はメシア以外には、なつかないだろう、と思われる事だ。 自分で言うのもなんだが、私は下らない人間だ。 『 水子供養に来た人に猥褻行為をして、逮捕された住職のいる寺に案内して下さい！』 そんな頼みを、占い杖がピョンピョンと案内してくれるとは思えない。 そんな事を考えながら、今日も迷った道を引き返していた。 TEXT / スズキ キヨミ

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