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Vol.12 「 mosquit 」
堂々と言うのもなんだが、俺はバカだ。
かなり頭が悪い。
学校の出席日数と成績はヤンキーより悪かった。
スターリンの『 勉強が出来ない 』ほど共感出来た曲は無い。
ネガティブな考え方だが、自分よりバカを見ると、ホッとする。
俺の友達に資産家の、性格がドSの息子がいる。
そいつは家を出て、家業を継がず、自活していた。
セフレが妊娠し、性格がドSでもデキ婚しなければならなくなった。
子供が出来た頃、最悪の事実が判明した。
セフレの嫁は、キャッシングローンのブラックリスト者だった。
昔、男に貢ぐ為に借金を重ね、返済出来ない額になっていた。
800万位に膨れあがっていたそうだ。
性格がドSの旦那は、そんな金を肩代わりする気は無いので、嫁を働きに出した。
元々セフレだったし、子供が生まれた頃には、子供は可愛がるが、嫁にはすっかり冷めていた。
嫁は巨乳だが、バカだった。
バイトでも、なかなか見つからない。
しかし、面白くて、いい奴だった。
俺の友達の親がやっている、運送会社の倉庫係を紹介した。
社長の親父に面白さを気に入られ、バイトする事になった。
しかし、性格がドSの旦那は夜も働かせた。
それだけでは返済に足りないのと、嫁と一緒にいたくないからだった。
子供は、旦那の親と姉に何不自由なく育てられていた。
夜は、俺がよく行く居酒屋でバイトする事になった。
居酒屋では、バカっぷりが常連客に受け、もっぱらカウンターでの喋り専門になっていた。
昼も夜も働く生活が何年か続いた頃、運送会社の娘から連絡があった。
時々、嫁が顔を腫れあがらせてバイトに来るので、理由を聞くと借金取りのヤクザ達に、港に呼び出されボコられているという。
『 港・ヤクザ・バイオレンス 』こんなベタな組み合わせが現実に、しかも身近にあった事に、俺は驚いた。
女なので、殴られているだけじゃないとは、容易に想像できたが、お互いに口には出さなかった。
顔が腫れていても、倉庫でのバイトは出来るが、居酒屋には出れない。 当然、辞めた。
しかし、返済が足りない。
嫁は、居酒屋の常連の一人、独身でハゲの中年男をそそのかし、キャッシングローンをさせ、返済にあてようとした。
が、バカなので欲を出した。
ハゲのオッサンをそそのかした金をパチンコで増やそうと考えた。
その結果、全部スッてしまった。
結局、返済が足りず、また港でヤクザ達にボコられる。
そんな生活がしばらく続いた頃、旦那の親父が他界した。
長男である旦那は、莫大な財産と、家業を継ぐ事になった。
同時に、旦那の実家に、嫁も同居する事になった。
バカな嫁は、ブラックリスト者から一変して玉の輿へ。
借金が無くなり、働きに出る事も無くなった嫁は、ブルジョア生活が性に合わなかった。 しかし、面白いので、旦那と子供以外の家族と親戚からの人気を得た。
珍しいパターンだ。
親父の葬式でも、親類縁者にウケていたと言う。
毎日、暇こいているバカな嫁から、面白い店を見つけたから、飲みに行こうと誘われた事があった。
『 浜省の店 』だという。
店員が全員、浜省のバンダナ、サングラス、Tシャツ、ぴちぴちジーンズのコスプレをしているそうだ。
店員は黙っていて陰気臭いので、大体15分もいると飽きる店だという。
俺は、即座に断ってしまったが、今となっては少し後悔している。 すぐに潰れてしまったレアな店だったからだ。
バカな嫁は、夏に真っ裸で寝ていて、●ンコ辺りを蚊に刺された。
痒くてしょうがないので、側にあったブラシで掻きむしったら、大量に血が出た。
数日後、そこがカサブタになり、また痒くなった。
今度はブラシではなくタオルを長く持ち、裸になり、尻から前へ、前から尻へと繰り返し擦った。
そこを、性格がドSの旦那に見られ、『 何しとんじゃ!バカヤロー!』
と、飛び蹴りを食らわされ、嫁は吹っ飛んだ。
………現在、バカな嫁は離婚され、行方不明だ…。
いや〜、ホッとするねぇ〜。
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