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Vol.19 「 欲望という名のJR 」
車で会社に通っていると、電車通勤に憧れる時がある。
iPodで音楽を聴いたり、DSをしたり、読書をしたりして、退屈な電車通勤の時間を潰してみたい。
先日、仕事で朝の電車に乗って行かなくてはならない用事が出来た。
駅にはサラリーマン、OL、学生達の姿ばかりで、電車通勤気分を盛り上げた。
あいにく、赤井英和にそっくりな女子社員と一緒なので、DSは出来なかった。 二人共、電車通勤に慣れていなくて、
暗黙のマナーなんかあったらマズいという事で、学生ばかり乗っている車両に乗り込んだ。
その車両は…。
エロ車両だった。
高校生達が、アメリカ化している。
ビバ白でみた事あるような光景。
いや、もっとエロい!
キスは明らかに舌が入っているし、乳は揉むわ、股関をこすりつけているわで、もう、ヤってしまえばいいのに…、
と思うくらい、みんなギリギリまで行っている。
この感じは、競歩の人を見ている時に似ている。
走り出すギリギリ!
じれったい!
もう、走ってしまえばいいのに!
『 すごい!』
赤井英和と二人、思わず口をついて出たのが、それだった。
そんなシンプルな事しか言えなかった。
時代は、ここまで来ていたのか!
しかし、すぐに、高校生のエロ景色に飽きてしまった。
赤井英和は
『 所詮、子供のする事だから 』
と言っていた。
俺は、JRの車窓からって感じの風景を見たかった。
窓に目をやると、酷く曇っていた。
仕方なく、またエロ高校生達に体を向けた。
飽きもせず、寸止めプレイをしていた。
何で、こいつらは無税なんだろう?
朝っぱらから電車内で、こんな事できるなら、いっその事、見物料を取って、納税させてもいいじゃないか。
こいつらは、見せたいのだ。
自分のエロを見せたい人種は金になる。
そんな事を考えながら、目の前で繰り広げられる、酒池肉林の数々を、ぼーっと眺めていた。
赤井英和が、このエロ車両は嫌だというので、隣の車両に行く事にした。
行ってみて、驚いた。
窓がクリアなのだ。
エロ車両は、痴態を外に見せない為に、最初から曇りガラスなんだろうか?
いや、俺達が乗った時はクリアなガラスだった。
この疑問を、赤井英和に話した。
赤井英和は、コ●ンと金●一少年が好きなので、このミステリー解明に乗ってきた。
『 じっちゃんの名(無名)にかけて!』
エロ車両に戻ると、やはり窓が曇っている。
手で拭くと、クリアガラスだった。
エロ車両の椅子に座り、二人で仮説を立てた。
『 じっちゃんの名(無名)にかけて!』
エロ車両の高校生達は、挿入寸前のハードプレイを20分以上も続けていた。
当然、パンツはミドルウェッティになっているだろう。
彼らの若さと熱気で、ミドルウェッティは熱されて、湯気になり、窓を曇らせたのではないか?
二人とも、この推理に満足した。
『 じっちゃんの名(無名)にかけて!』
声を合わせて、言っていた。
その時、
赤井英和が小さく『 あっ 』と呟いた。
赤井英和の視線の先を見ると、一番激しいプレイを展開していた高校生カップルだった。
キスを止めている。
ずっとキスをしていたので、初めて顔を見た。
赤井英和が、
『 あの女子高生、あたしのいとこ!』
と囁いた。
何故か、目に闘志がみなぎっている。
そして、
『 クッソ〜!負けた!』
と吐き捨てた。
元世界チャンプの顔だ。
さっき、『 所詮、子供 』とか言っていたのに…。
浪速のロッキーは、どついたるねん!とでも思ったのか。
後日、赤井英和から、エロ車両のいとこの情報が届いた。
いとこの女子高生は、JR側から『 あまりにも、えげつないエロさなので乗らないで下さい 』と通達があり、現在は母親が車で学校まで、
送り迎えしているそうだ。
ちなみに、いとこは、赤井英和に似ていない。
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